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自然の狩人

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真理子(6)

どちらかと言えば、両親の為 志望高は有名な進学校を

三者面談で先生に告げた 面談が終わると帰り道

母は「真理子、大丈夫かい」と顔を覗き込むように訪ねた

でもその顔は嬉しそうだつた。 できれば有名大学にも入れたい

と母は内心思うのだった

一ランク低い都立高なら推薦が貰える話があつた

校内の英語弁論大会で優勝を真理子はしていた、だからといつて
英会話が出来るわけでもなかつたが

「真理子、実はね 家の近くに庭付きの一戸建の家買ったの」 真理子「えーっ」

「だって真理子が前から一人部屋が欲しい」「受験に頑張りたいって」

「4LDKで二階建なの」「ふふ。。でも中古物件」

「今の家から7分位の所なのょ」

真理子はうれしかった、憧れの一人部屋が持てる

そして大学も行ける 小さい時から母が夜いなくて淋しい

想いもした、冬休みや夏休みも家族で友達、たちは旅行に行つて
その楽しい話を、ただ聞くだけだつた

少しだけ両親を恨んだりも心の中でしたりもした

でも懸命に働く、両親の顔を見ると、そんな恨み事を

言えなかった 

今、今まで生きてきて最高と思える、喜びが全身を駆けめぐるようだつた

真理子は母親の腕を抱いて 「ほんと、嬉しいー」と甘えた

母は「真理子、良かったね」「もう手付け金も払ったのよ」

と少し誇らしげな顔を見せた

父と母が日曜の夜に 台所のテイブルで 何枚かの書類を

広げたりしている光景を見ていた

書類の中身などに興味を示さなかった 毎年母は税の申告で

テイブルに書類を広げる姿を目撃していたのだから

そう、そんな類の書類なのだと 勝手に理解していた

母に真理子は「ねえ。ねえ 兄ちゃんは知ってるの?」

「兄ちゃんも喜ぶよね」「だって、いつも言つてたょ」

「友達の中で俺くらいだ。妹と同じ部屋だなんて」

「格好悪くて,ダチも家に呼べない」つて

母は「そう、そうね。。」と言うと 何故か

淋しげな顔を見せた 真理子はその淋しげな顔の

理由をその時は、知らないでいた。

腕を組んで母親と歩くなんて とても暫らくぶりだつた。

角にあるロウソンを曲がると

真理子達が住む賃貸のマンションが見えた


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